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北風と太陽が、どちらが旅人のコートを脱がすことができるかを競い合う童話があります。
ご存知の方も多いと思いますが、人を動かす方法をわかりやすく表した物語として有名ですね。
北風は強風を吹きつけて、力任せに旅人のコートを吹き飛ばそうとします。旅人は寒く、コートを飛ばされないようにと必死でコートの襟元をかき合わせます。結局、北風は旅人のコートを脱がすことはできませんでした。それに対し太陽は、暖かく旅人を照らします。言うまでもなく、旅人は暖かくなったので自らコートを脱いでしまいます。
お客さまは、この物語での旅人です。
みなさんは、そのときどきの応対によって北風のような応対をするオペレーターになったり、太陽のような応対をするオペレーターになったりしていませんか?
すべてのお客さまにとって、みなさんは太陽のようなオペレーターであってほしいと願っています。
コミュニケーション・スキルというのは、その高い低いの差はあれ、誰もが持つスキルです。その中でも、オペレーターが持っている応対スキルは業務上必須のものであり、重要なコミュニケーション・スキルですよね。
お客さまも、当然コミュニケーション・スキルをお持ちです。そしてその中でもお客さまが発揮される、私たちの応対を助けてくれる、非常にありがたいコミュニケーション・スキルを、私は勝手に「お客さま力」と呼んでいます。もしかしたら世間一般に使われているかも知れませんが…
日頃のみなさんの応対を聞いていると、当たり前ですが、お客さまの持つ「お客さま力」はバラバラであることに気づきます。もともと高いお客さまもいれば、低いお客さまもいます。またその場の状況によって高めたり、低めたりされることもあります。そして電話の向こうのお客さまは、我々と違って仕事ではありませんので、発揮してくれるか否かは、期待できません。
ところで「お客さま力」は、みなさんも持っています。洋服を買いに行ったり、食事に行ったり、映画鑑賞に行ったり…様々な場面で、みなさんも「お客さま力」を発揮されています。
来なくていいのに店員さんが接客に来た時、注文した料理がなかなか来ない時、座れない人のために席を移動してあげる時…こんな折々にみなさんには、店員さんの一言や、その場の雰囲気などを察して「お客さま力」を高めるモチベーションが生まれます。
話が弾んでつい衝動買いしたり、丁寧なお詫びやサービスに感動を覚えてお礼を言ったり、お互いに気持ちよく席を譲れたり。その逆もあります。場合によっては「お客さま力」を引っ込めることもあるでしょう。
みなさんが「お客さま力」を高めた経験と、電話の向こうのお客さまが「お客さま力」を高めるためのきっかけは、ほとんど変わりません。素敵な応対にしたいと思ったら少し、みなさんがお客さまの「お客さま力」を高めるモチベーションを刺激すればよいのです。そうするとお客さまは自然と「お客さま力」を発揮し、相乗効果が生まれるでしょう。
そして「お客さま力」を高め、引き出すためのヒントは、みなさんの「お客さま力」が高まったときに感じたことや、ちょっとした経験に隠されているのです。
みなさんはどんな時に「お客さま力」が高まりましたか?
そして、どんな時に電話の向こうの「お客さま力」を感じましたか?
円滑なコミュニケーションのためには、お客さまのお話をよく聴き、要約フィードバックや共感を示すことで、お客さまに「合わせる」ことが大切ですよね。みなさんも当たり前のようにそうされていると思います。
ところがあまり気づかないのですが、お客さまの方が自分に合わせていただいているということが、案外あります。なんだかとても上手くいった応対を振り返ってみると、電話の向こうの「お客さま力」がとても高いことに気づいたこと、ありませんか。
私は、現場のみなさんと面談するといつもそのことを感じます。みなさんの聴くスキル+話すスキルが高いので、面談中は話も盛り上り、時間も忘れそうなぐらい、とても素敵な時間を過ごさせていただきます。
しかし面談が終わって振り返り、少し考えると気づくんです。実はこの有意義な時間は、みなさんのおかげで成り立っていたんじゃないかと…
そしてこの有意義な時間をともに作ってくれたみなさんに感謝するんです。
素晴らしい応対はみなさんのおかげでもありますが、ときどき、お客さまにも支えられていることを思い出して、感謝したいですね。
電話応対は顔が見えない、声だけのコミュニケーションです。
また最近はチャット対応も増え、文字だけのコミュニケーションにご苦労もされている方もいると思います。
そしてもちろん、旅人が自らコートを脱いだように、どんな場合でもお客さまに良い「お客さま力」を発揮いただく力を、このメルマガをお読みのみなさんもお持ちだと思います。
今回は、日々コンタクトセンターで頑張るみなさんに、現場視点でのメッセージを送りたいと思い、私がとあるコールセンターでリーダーを務めていたとき、オペレーターやSVのみなさんに送っていたエールをメッセージにしました。
コンタクトセンターで働くみなさん、今日も一日、素敵なお客さま応対をよろしくお願いいたします!
<SocioFuture株式会社 戸田寛之>