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[コン検通信 理事だより] 派遣スタッフを通して見たコンタクトセンター

人材サービス会社である弊社は、数多くの企業様・団体様のコンタクトセンターへ人材を派遣し、また、コンタクトセンター業務を受託しています。メインはコールセンター(電話)業務ですが、一口に電話業務と言っても、インバウンド(お問い合わせ窓口、申込受付、コンシェルジュ、緊急受付、等々)あり、アウトバウンド(調査、営業アポイント、督促、等々)あり、千差万別です。

しかし、それらの仕事は、いずれも「お客様と直接話をしなければ埒があかない業務」という点で共通しており、その企業にとって「非常に重要な顧客接点での業務」という捉え方が出来ます。

かつては電話の仕事にも「104」に代表されるような「単純なご案内業務」というものがありましたが、様々な業務の自動化(システム化)とインターネットの普及により、単純なご案内業務はコールセンターから姿を消しています。

したがって現在のコールセンター業務の多くは、
*複雑な商品説明、返品処理、イレギュラー注文の承り
*インターネットより電話が楽だというご高齢者層対応
*直接担当者と話をさせてほしい!というご意見の承り、苦情対応
*お手紙やメールだけでは反応していただけないお客様への直接アプローチ 

などが含まれ、難易度の高い辛そうな業務という印象がありますので、どの世代からも敬遠されがちな仕事となっています。求職者の方たちには「電話の仕事以外で仕事を探している」という方が目立ちます。特に若い方たちは、電話で人と話すこと自体を好まない傾向にあります。まして知らない人と電話で話すなどとんでもない、少しくらい時給が高くても「気が進まない仕事」となります。

一方、そのように難易度が高く重要な顧客接点の業務であるからこそ、達成感や充実感を得て、継続してコールセンターで働いている方々が大勢います。勤務先企業の商品やサービスをお客様にきちんと説明したい。難しい内容をお客様にご理解いただけると嬉しい。お客様に喜んでいただけると嬉しい。人と話すのは意外と楽しい。といった理由で、やり甲斐を感じて働いている方たちです。

そこで、私ども人材会社の視点から、そのように派遣スタッフがモチベーションを維持して、「継続して働きたい」と思う離職率の低いコールセンターが必ず実践されている、いくつかの特徴を僭越ながらご紹介したいと思います。

1) 個人個人に適した十分な教育が受けられる
同じタイミングで入社したスタッフでも、得意不得意や業務習得速度には差がありますので、集合研修中心ではなく、それぞれに適した指導・教育がなされることは、スタッフの定着の必須項目だと思われます。もちろん「教育する時間がないから、人材会社に即戦力人材を求めている」と考えるのは当然であり、私ども人材会社も経験値の高い即戦力をご提案するよう努めますが、個別に各社方針に基づいた十分な教育指導を行い、スタッフが自信を持った状態で現場へ配属され、丁寧なOJTがなされるのが理想です。

2)評価基準が分かり易く数値化され、誰の目からも公平性が明確
多くの方が働くコールセンターでは、業務に必要なスキルや知識・顧客対応品質・効率性・お客様の声・勤怠状況 などを数値化して、職場内にも本人にも派遣会社にも結果を開示し、明確に評価をしていただくことは何より重要です。 この評価をベースに契約更新、時給改定、インセンティブ付与が行われれば、評価への不満は殆どなく、お互いのストレスを最小限に抑えることが出来、信頼関係の構築に繋がります。

3) センター側の社員・従業員同士の人間関係が良好
もともと派遣という働き方を選択している方たちは、職場でのウエットな人間関係を好みません。感情的態度、馴れ馴れしさ、噂好き、嫌味、自分勝手 といった各種ハラスメントに該当する人や行為に敏感です。あまり我慢もしません。逆に、あくまでも仕事をベースに、明朗でリーズナブルな人間関係が維持されている職場であれば、業務内容が少々厳しいものでも継続して勤務しようとしてくれます。

3点とも基本的なことですし、どのような職場でも共通の重要ポイントと言えますが、特に1対1でお客様に向かい合い、個人スキルへの依存度が高くになりがちなコールの業務では、極めて大切です。
実際に弊社のお取引先様で、これらを実践され高い定着率を実現されているコールセンターはいくつもあります。実は弊社も小規模なコールセンターを運営しておりますが、見習わなくてはならないと心底反省している次第です。

以上、人材会社側の勝手な言い分をならべましたが、コンタクトセンターで働く方たちの思いと特性を見極めながら、それぞれがお互い協力して、最良の職場環境を作っていけたらと思います。

<株式会社セゾンパーソナルプラス 岡田治美>