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[コン検通信 理事だより]生成AIの活用実践

年前の本稿で、「コンタクトセンターにおけるAIツールの活用」をテーマに取り組み事例をご紹介しました。
https://www.conken.org/information/cat1/202301CONriji.html

年が明けて2023年の初頭に「生成AI」が現れ、瞬く間に一般にも広く認知されるようになりました。それ以降の進化は目覚ましく、ビジネス、業務など多くの領域で活用が進んでいます。日々のネットニュースにおいても「生成AI」の関連記事を見ない日がないと言っていいぐらいです。
当社でも「生成AI」の検証に着手し、コンタクトセンター業務での活用を想定して試行錯誤しました。
そこで具体化したのが、ロールプレイングシステムです。

コンタクトセンターでは新人オペレーターが基礎教育・知識教育の研修期間を終えると、実際のお客様対応の開始可否(いわゆる着台可否)を判断するために、スーパーバイザー、または品質担当者がトレーナーとなってロールプレイングをおこないます。トレーナーがお客様役を担い、想定問答集を用いて様々な場面を想定した疑似対応を演習します。疑似演習の結果、お客様対応が可能と判断された新人オペレーターは、いわゆる「着台可」と判定され、実際のお客様対応を開始することになります。このプロセスはコンタクトセンターの品質に関係するため、とても重要です。

その一方で、ロールプレイングは人的資源の負担が大きいという現実があります。
新人オペレーター1人に対して、トレーナーを1人付ける人員配置となり、2人分の時間が必要です。少し方法を変えて、トレーナーの負荷軽減を目的に、オペレーター同士でロールプレイングをおこなうこともあります。互いの良い点や、改善が必要な点を指摘しあうことができる一方で、踏み込んだ指導には限界があると言えます。
このような状況の手助けとするべく、生成AIを活用したロールプレイングシステムを開発しました。

本システムでは、生成AIがトレーナーとなってお客様役を担います。
システムの機能概要と流れは次のようになります。

事前に、同システムにナレッジ情報や業務情報を読み込ませると、ロールプレイングに必要な参照データとするために情報を整理・加工し、コンタクトセンターの窓口を想定、質問のためのシナリオを生成します。

オペレーターの「お電話ありがとうございます。担当の〇〇です」の発話からロールプレイングが始まり、生成AIが先の参照データから、設定した質問数に応じて、質問(問い合わせ内容)を作り出して音声で発します。これに、オペレーターはお客様対応をおこないます。以後、応酬を繰り返し終話となります。

会話が終わると、一連のお客様対応の評価をおこないます。
評価項目は、「オープニング」、「クロージング」、「口癖」、「案内の正確性」です。
それぞれの項目について、定量5段階評価・定性評価をおこないます。
評価の根拠・実際の発話・改善案・改善例を具体的に示すことで、オペレーターが納得する評価を提示するように工夫しています。

さらに、このあとに、応対履歴を表示します。
いまロールプレイングした内容を応対履歴として残す場合の書き方や気づきのポイントを例示します。例示された内容をオペレーターが確認することで、効果的な履歴の書き方を学び、応対のポイントが掴めるようになります。とりわけ、「コールリーズン、気づき」については、CX視点をもった顧客対応ができるオペレーターの育成に役立てられます。

このシステムを実際のコンタクトセンターの現場で試してもらったところ、
・業務研修で受けた知識が質問されるので理解の把握がしやすい
・評価についても生成AIからの指摘は的確で、対応終了後の評価も客観的で良かった
など、一定の評価を得ています。

新人オペレーターは、このシステムを使うことによって、お客様対応に自信が持てるまで時間を最大限活用して、自主的なトレーニングが可能です。当社の検証では、新人オペレーターの教育にかかる工数が74%削減された例もあります。

現時点では、生成AIを応用したロールプレイングシステムとして、AIにお客様のロール(役割)を設定していますが、ロールを逆転することで、AIによるテキスト自動回答、音声回答が実現できます。

このような新しい技術を効果的に活用することで、コンタクトセンターのあり方も変えていく必要があると考えています。

参考:
ロールプレイングシステムに関する当社ホームページのトピックス
GPT搭載で新人研修のロールプレイングを自動化!シナリオ作成から応対評価までAIが支援 : 富士通コミュニケーションサービス (fujitsu.com)

<富士通コミュニケーションサービス株式会社 大濱 広寿>