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[コン検通信 理事だより]コンタクトセンターのスキルも進化が必要

コン検では、昨年8月に7年ぶりにCMBOKがVer.3.0へのメジャーアップデートとなり、CMBOK Ver.3.0の概要テキストを発行させていただきました。今年度は、オペレーター向けテキスト、スーパーバイザー向けテキストのVer.3.0の改訂版の発売を予定していますので、よろしくお願い申し上げます。
今回のCMBOK3.0では、新たに多くの項目が追加されています。コンタクトセンターのデジタル化が急速に進んでいることもあり、デジタルに関する項目についてのアップデートや、CMBOK.2.0以降に新たに発生した項目についての追加などが行われています。
CMBOKは時代の変化に対応できるよう、バージョンアップにより進化をしていますが、それにあわせて、CMBOKを活用される対象者のオペレーターやスーパーバイザーの知識やスキルについても変化しているため、社内でのトレーニングや研修内容を変更する必要があります。

皆様のセンターでは、オペレーターやスーパーバイザーのトレーニング内容について何か変更した点はありましたでしょうか。

デジタルの急速な普及につれて、オペレーターの業務内容も変化し、また、消費者の行動にも変化が現れています。そのため、オペレーターに求められるスキルも変更しなければなりません。
例えば、現在では、チャット対応を行うセンターが増加していますが、チャット対応を行うオペレーターと電話対応を行うオペレーターのスキルについてはどうでしょうか。電話対応もチャット対応も知識は変わらないという理由で、電話対応とチャット対応をひとりのオペレーターが対応する、いわゆるハイブリット型の対応を行っているセンターが多くあります。
コンタクトセンターでは、人事採用が厳しい状況もあるため、ひとりが専任で特定のチャネル(電話やチャット)を対応するのではなく、電話でも、チャットでも、業務で対応する製品やサービスの知識に違いがないため、電話対応スキルとチャット対応スキルについてトレーニングし、ハイブリットでの対応を求めることが多くなってきています。

もともと、チャットやSNSなど、テキストでの対応が開始された時には、電話対応とチャット対応は対応スキルが全く違うので、オペレーターも専任化し、別々に対応していました。それが、チャットやSNSの急速な普及により、いつの間にか、ハイブリット型の対応が当たり前になってしまいました。ハイブリットの対応ができるオペレーターを育成することがダメだという訳ではありません。
しかし、オペレーターが、電話対応とチャット対応をハイブリッドで行う上で、対応チャネルが変わっても、対応チャネルにあわせ、柔軟に切り替えができる能力(スキル)自体が重要なスキルであることが、全く考えられていないことに違和感があります。

同様に、最近では、在宅勤務を導入しているセンターも多くなってきています。週の中で、社内で勤務する日と、在宅で勤務する日を混合している勤務形態も出てきています。1週間の中で、社内での勤務と在宅での勤務がある場合に、労働環境の変化に対応する能力が必要となります。

このように、現代のオペレーターには、環境変化に柔軟に対応することができる能力、アジリティ(Agility)が求められているのです。常に環境が変化する中で、パフォーマンスを維持しながら働くことは、簡単にできることではありません。
しかし、このような勤務形態を求めているセンターは多くあります。アジリティの能力を高めることが大切ですが、すぐに対応できる人と時間がかかる人がいることを理解しておくことが重要となります。

今回は一例を紹介しましたが、上記で説明したように、環境変化により、オペレーターやスーパーバイザーに求められるスキルが変化し、変化したスキルを適切に理解しトレーニングをすることも現代のコンタクトセンターにとっては重要なことになります。
お客様に提供する製品やサービスについての知識・スキルはアップデートされると思いますが、今回の記事を読んでいただき、オペレーターやスーパーバイザーのスキルが現在の研修やトレーニングで適切にカバーされているか、再度見直しを行う機会になればと思います。

<株式会社東京海上日動コミュニケーションズ / コン検 CMBOK委員会 田口 浩>