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[コン検通信 理事だより]学び方を考える

日本では2020年ごろからリスキリングという言葉が流行りはじめました。人生100年時代と言われるようになり、DXの盛り上がりや生成AIの進化をきっかけに、世の中も学び方を見直す風潮にあるように感じます。
昨年の理事だより「AI進化時代の人の役割」の中で、私は生成AIにいくつかのインタビューをしました。
その回答の最後は、「最も重要なのは、コンタクトセンタースタッフがAI技術を補完し、より優れた顧客体験を提供できる方法を見つけることです。AIは効率化や自動化に貢献しますが、人間の要素や顧客との関係性はまだまだ重要です。コミュニケーション能力、洞察力、人間らしさを活かし、顧客ニーズに対応するために自身のスキルを磨くことが求められます。」というものでした。

今年、この原稿を書くにあたり見直しましたが、今も「なるほど、その通りだな」と頷ける回答です。コン検のベースとなるCMBOKも3.0よりAIを含むDXをフレームワークに加えてアップデートされています。

さて、生成AIには、人間の想像を超えた学習能力があります。
しかしその学びを、生成AIはどのように活かすか、どのような価値を生むかは考えません。
考えるのは人間です。
ということで、今回は学び方、学ぶことの意義を掘り下げてみたいと思います。
※リスキリングの潮流は、2018~2020年の世界経済会議「リスキル革命」というセッションから始まっています。

私は社会人になって10年ほど、法律や会計などの資格取得を支援する専門学校に勤めていました。
ちょうど就職氷河期の真只中、失業者も多く、厚労省の職業訓練の民間委託拡大や、教育訓練給付制度の開始により資格取得がブームになった時代でもありました。
そんな中、何か資格を取りたいと訪れるお客さまの相談に対し私が最も大切にしていたのは、何のためにその資格の勉強をするのか、という問いでした。
その資格の勉強は合格するためだけのものでしょうか。
もし、ただ資格を取れば何とかなると思っているなら、もっとあなたにとって本当に役に立つ、別の学びを探すべきではないでしょうか、と。

もちろんどんな内容であっても、学ぶことは良いことだと思います。
しかし学ぶにあたって気をつけないといけないことは、学ぶ行為そのものが目的になってしまうことです。
学ぶこととは、学習や経験、体験によって行動が変容することです。
どんな形でも良い、学んだ結果が、どう自分自身に前向きな変化・影響を与えたのか。
真の学びは、例えば資格なら合格した後、その知識やスキルを活用して世の中に自身の価値を提供できるようになることだと、私は考えています。

コン検の場合は、個人・組織の「顧客対応力」を高め、学んだみなさんとその組織の市場価値を高めることが大きな目的です。
エントリー資格から段階的に、オペレーター、スーパーバイザー、オペレーションマネジメント、コンタクトセンターアーキテクチャまで5科目ありますが、どれも合格すればゴールではなく、その学びを自身の仕事に活かすこと、組織運営に活かすことがこの資格を学ぶ本当の価値です。
その内容を紐解くと、学習項目の大半がコンピテンシーを高めることができるものです。
コン検にチャレンジするみなさん、ぜひ合格後の自分自身の市場価値を高めるために勉強をしてみてください。
毎年、受験されるみなさんが、合格するだけでなく、学びの中で得た知識やスキルを発揮されたら、日本のコンタクトセンターの顧客対応力はさらに向上し、みなさんも、みなさんの組織も市場価値がより高まるでしょう。

資格の話に偏ってしまいました・・・今回は学び方の話でしたね。
みなさんにとって、学ぶとは、どのようなことでしょうか。
これまでの学びは、今のみなさんにとって役立つものだったでしょうか、未来のみなさんにとって役立つものでしょうか。
これまでみなさんは、主体的に自身の未来(キャリアでも良い、生き方でも良い)をイメージして学んできたでしょうか。つまり価値を感じる学びを得てきているでしょうか。
もはやただ学ぶだけならAIには勝てません。
そこから先、学びをどう、価値に変えるか。

弊社には、このような人財育成理念があります。
社員一人ひとりが自身のキャリアを主体的に考え、継続的に学び、
社会に価値を提供できる人財へと市場価値を高めることをめざす

会社にアサインされたから研修を受ける、目標に設定したから資格取得する、というような受け身の学びではなくて、自分がどんな学びを得て、どんな努力をすれば市場価値を高められるかを、自ら考えて実現してほしい、または与えられた学びの機会をそのように活かしてほしい、という理念です。
この理念に定義される学びは、専門的な技術、能力などの業務スキルに限らず、業種や職種が変わっても持ち運びできるポータブルスキルやヒューマンスキルを高める学び、もちろん資格のほか、リベラルアーツもアカデミックな学びも、日常生活における経験や体験から得られるあらゆる学びが含まれます。
きっと、その経験が自分自身にとって、どんな影響を与えるかを適切につかみ意味のあるものとして吸収し、自身の価値を向上することができれば、どんな小さな学びも、よりよく生きるための素晴らしい力になるでしょう。

マザーテレサがこんな有名な言葉を残しています。
「思考」に気をつけなさい、それはいつか「言葉」になるから
「言葉」に気をつけなさい、それはいつか「行動」になるから
「行動」に気をつけなさい、それはいつか「習慣」になるから
「習慣」に気をつけなさい、それはいつか「性格」になるから
「性格」に気をつけなさい、それはいつか「運命」になるから

「思考」は、自然に生まれるものではありません。
様々な五感への刺激、経験や体験が、心を動かし「思考」につながります。
それはすなわち、学び。
学び方が上手な人は、あらゆる刺激を、自分の糧になると理解し、ポジティブで建設的な「思考」につなげられます。
それを、言葉に変え、行動に変え、習慣に変え、自身の価値に変え・・・最後には、生き方まで変われば・・・

みなさんにとって、日々の刺激は、経験・体験は、学びは、未来にどのような価値を生むものでしょうか。

<SocioFuture株式会社 戸田 寛之>