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[コン検通信 理事だより]コロナ禍におけるコンタクトセンターのリモート体制の教育について

新型コロナウイルスの脅威・猛威の真っ只中において、いよいよ3密職場の代表格のコンタクトセンターも本格的にリモート体制への移行が必至の状況となりました。昨年の春頃には前もって災害対策としてリモート体制の準備を行っていたコンタクトセンターはごく一部の企業のみでしたが、秋頃には大手アウトソーサーや中堅・大手企業でも本格的なリモート体制への移行や一部のチャネル(メール・チャット対応に限定)で実施開始しているセンターも目立ってきました。そして今年はコンタクトセンターのみならず、あらゆる業種においてリモート体制の本格構築になっていくでしょう。 

専門誌のアンケートではコンタクトセンターのリモート体制に移行が難しい主な理由として「個人情報など情報セキュリティが担保できない」・「エスカレーション対応など品質管理・労務管理が難しい」が挙げられていますが、今の時代これらの課題を解決してくれるシステムの選択肢は豊富にありますので、各社で議論を重ねて自社の方針と予算にあったシステム投資を行う状況にあると思います。まさに、コンタクトセンターにおけるリモート体制は待ったなしの状況です。今回は、既にリモート体制に移行したコンタクトセンターから特にオペレーターの方への教育・運用上の参考トピックスをお届けします。

●研修のやり方を根本から見直し・研修ビデオ映像をフル活用

座学研修は一般的に中長期にわたり詰め込み型の研修になりがちです。研修⇒OJTが終了すると現場で着座して受電業務を行いますが、一旦着座したら、わからない事があると手挙げをしてSVに支援をもらいますが「習ったよね!」、「さっきと同じ質問だよね!」などのプレッシャーを受けることもしばしば。結果的にその積み重ねが離職につながることもあります。しかし、リモート体制になると今まで以上にエスカレーション対応に困る・躊躇するということも発生します。

そこで、最近リモート体制に移行したコンタクトセンターの中では、特に新入社員を対象として研修内容・エスカレーション内容を研修テーマ・カテゴリー毎に全てビデオ化してライブラリー管理をすることで新人層の解決率向上・ストレス解消・離職防止に効果を上げているという声を聞いています。遠隔でリモート体制の孤独な環境に置かれた際に最も重要なのがFAQの充実・精度を含めたナレッジマネジメントになります。しかし、新人層にとっては一度座学で受講した研修だけで全てを習得するには難しく、検索ワードすらわからないという声も聞かれます。一度受講した研修が全てビデオ化されオンラインでいつでもどこでも視聴できる環境と、それを勉強できる機会があれば、格段に解決率が向上することになります。

あるコンタクトセンターではリモート体制移行後は受電後SVに質問が発生した場合は、すぐにエスカレーションせずに一旦全て折り返し架電対応に切り替え、オペレーター自身でFAQとビデオを視聴して解決するようにしたそうです。お客様への即時解決は難しいもののコロナ禍におけるリモート対応としては参考にする事例の一つだと思います。このような折り返し架電対応に対しコロナ禍の中お客様の理解もあり、新人オペレーターの自己解決率の向上によるストレス解消・離職低減にも効果がでているようです。

●オペレーターへの精神的なケアがおろそかになりがち

当初はPC・ヘッドセット・Wifiの手配やシステム面の構築ばかりに気が取られ、運用ルールの整備、特にオペレーターの精神的なケアがおろそかになりがちでした。通常運用であれば、直接表情も確認でき、何気ない会話を通しておのずと各人の変化に気付くことができますが、リモート体制になると一人暮らしの方などは特に孤立状態になってしまいます。想像するよりも孤立状態でのリモート対応は精神的にも厳しいという声が聞かれます。セキュリティ対策・FAQの整備・回線の振り分けなどシステム面のメンテナンスも重要ですが、ヒューマンなメンタルケアも重要であったと振り返ります。朝礼、中礼、終礼など節目の時はTV会議を活用しチーム単位で一言メッセージを伝える機会を設ける、定期的なTV面談の実施、SNSを活用した働く仲間との繋がりを強化するなど各社ともメンタルケアには特に気を配っているようです。

今年は本格的なリモート体制が築かれる年になると思いますが、システム構築ばかりに気を取られることなく、教育のあり方やメンタルケアにも気を配ってもらいたいと思います。

弊社ではオンライン研修やWeb学習サービスなど、リモート体制を支援する内容を幅広く取り扱っております。ご興味ある方は、ぜひお声がけください。

株式会社JBMコンサルタント 中山隆暁>