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[コン検通信 理事だより]With コロナ時代のセンター運用はナレッジの活用がポイント

新型コロナウイルスの発生は,コンタクトセンターの運用に大きな影響を与えました。

コンタクトセンターでの「3密」対策として、センターに出社する従業員数を減らす必要があり、そのため、通常のサービスレベルを維持することが難しくなり、営業時間の短縮や、サービスレベルを下げて運用を行うセンターが多くありました。

また、多くのセンターで在宅勤務の導入や、セルフサポートツールの解決率向上のために、FAQに登録しているコンテンツ数を充実させることや、チャット・チャットボットで対応する範囲を拡大するなどの取組を実施したセンターもあります。

これらの取組で共通することは「ナレッジの活用」ではないでしょうか。

在宅勤務では、通常のセンターでの運用と比べ、エスカレーションが難しくなりがちのため、オペレーターが利用するFAQを充実させ、安心して在宅でも業務が行える環境を構築することが重要となります。(もちろん、エスカレーションをしやすくする環境の構築も必要です。)

また、電話や有人チャットがつながりにくくなる状況が発生した場合には、顧客が自身でできるだけ解決することできる環境を提供することも重要となります。そのためには、公開しているFAQに登録しているコンテンツ数を増やし、充実させることや、チャットボットで対応できる範囲を拡大する必要があります。これらの取組には、ナレッジが重要となります。

通常の運用時には、「社内でFAQが活用されていないため、活用するためにはどうしたら良いか」という質問がよくありました。通常の環境では、エスカレーションすることが難しくなく、FAQを利用するより、簡単に、早く、確実な回答が入手できていたため、FAQの活用が促進されなかったのではないでしょうか。

また、FAQに登録されているコンテンツは定期的にメンテナンスをする必要があり、メンテナンスには、多くの時間と工数がかかるため、使われないのにメンテナンスをすることが無駄だと考え、できるだけ登録数を必要最低限にしようという考え方をするセンターもありました。

一方で、普段の運用から、FAQを積極的に活用していたセンターでは、今回のコロナ対策では迅速な対応を行い、FAQコンテンツの登録数の拡大、チャットボットでの対応範囲拡大を数日間で実施したセンターもあります。

Withコロナの時代になり、コンタクトセンターの運用を見直す時期がきている中で、キーポイントになるのは「ナレッジを活用した運用」ではないでしょうか。コンタクトセンターの特徴として、「同じ質問が重複してくる」ということがあります。そのため、さまざまなチャネルで受け付けたナレッジ(情報)を一元管理し、FAQやチャットボット、人工知能などに再利用することで、エスカレーションの削減や、セルフサポートの解決率の向上、対応範囲の拡大などが可能となります。

今までFAQが活用されていなかったセンターの方がいらっしゃれば、FAQを活用した運用に見直しをしてみてはいかがでしょうか。

<株式会社東京海上日動コミュニケーションズ  田口 浩>